ニュース探偵局
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08/12/13 08/12/16〜08/12/20 放送 バックナンバー
ちょいメタでも大丈夫
ゲスト:
東海大学医学部教授
大櫛陽一さん

聞き手:
高橋大作アナウンサー
コレステロール値が低いのも健康に悪い!?
国際的には否定されている「メタボ健診」の基準!
「ちょいメタ」の方が「健康」な人より健康!?
「ちょいメタ」の基準は?
「メタボ」じゃなくても糖尿病になる!!
 今年から、メタボ健診とも呼ばれる特定健診が始まりました。男性はお腹周りが85センチ以上で高血圧などに当てはまるとメタボリックシンドロームと呼ばれ、生活習慣病にかかり易くなる、とされています。しかし、今の基準では国民の9割以上がメタボになり、またコレステロールが低いほうが、死亡率が高いという調査結果が出されました。メタボは何がいけないのでしょうか?
 今週は、これらの調査を担当し、「メタボの罠」などの著書もある東海大学医学部教授の大櫛陽一さんにお話を伺います。
■コレステロール値が低いのも健康に悪い!?

 そもそもどういった調査なのですか?

 「『日本総合検診医学会』という学会があるのです。そこで、男と女、若い人とお年より、5歳きざみの男女別、年齢別の正常範囲を作ろうというプロジェクトがありました。そこで全国から70万人の検診結果を集めて分析したのです」


 項目はどういった(ものがあるのですか)?

 「項目は25項目で、みなさん普通に検診とか人間ドックで測定される血液の中の成分とか、血圧とか、肥満度、そういうものについて全部カバーしているわけです」


 その中で出た結果として、コレステロール値というのが低いと死亡率が高くなっているという結果が出たと?

 「それはまた別の研究で、これは70万人のデータではなくて、いくつかの市町村の人を追跡する研究がもう1つあるのです。それで、それぞれの検診結果ごとに将来どういう病気になるか、死亡率はどうかということを調べると。
 そちらのほうで、日本人はコレステロールが低い人の方が死亡率が高い。その死亡原因はガンと肺炎、うつ病による自殺などである、という結果が出てきたということです」


 一般的なイメージから言うと、コレステロールというのはあまり高いといけないというイメージがね?

 「そうですね。テレビなどではコレステロールを下げましょうと、お茶とか、いろんなものが売られていますけれども、コレステロールがなぜ悪いかというと、アメリカの男性では確かに、コレステロールが高い人が心筋梗塞(しんきんこうそく)にかかる人がずいぶん多いのです。
 これはアメリカ人の死亡原因のトップは心筋梗塞なんです。ガンよりも3倍ほど心筋梗塞が多いという特殊事情があるのです」


 アメリカの場合は?

 「ところが、コレステロールは確かに高すぎても悪いのですけれども、低すぎても悪いのです。低すぎると今度はガンになりやすいのです。
 日本人の死亡原因のトップはガンですから、そういうことを考えても、コレステロールが低いほうが日本人にとっては、非常に健康を害するというのは、もともと想定はされていたのです」


 そのとおりの結果が出てしまったと?

 「コレステロールというのはもともと細胞膜という、人間の体はもともと小さな細胞でできていますが、その膜は全部コレステロールでできているのです。それとホルモン。男性ホルモン、女性ホルモン。それから体の健康を守ってくれる副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン。それと脳神経。全部コレステロールが材料なのです。
 コレステロールは実は必須の、体にとって一番重要な物質なんです。ただそれが極端に多すぎるとアメリカ人のようになる。当然少なすぎると、体に必要な物質が足りないので、ウィルスとか細菌に侵されやすい」


 アメリカ人の基準であると。

 「はい。それで実は、アメリカ人の基準は日本の基準よりもずっと高いところにあるのです。ところが不思議なことに日本ではそういうコレステロールは低いほうが問題なのに、アメリカよりずいぶん低く設定されているのです」


 ここまで行ってはいけないというところに?

 「たとえば、総コレステロールというのがあって、今年の3月までは検診では総コレステロールというのが計られていたのです。アメリカ人ですと、270を超えるとダメよということなのですが、日本の基準はなぜか220を超えるとダメよ、と。
 逆に言うと、アメリカでは270以下にしましょう。日本では220以下にしましょうと。こうなっていたということです」


 大きな違いですよね?

 「50の差というのは非常に大きくて、この50の間に人口の5割くらいが入るのです」


 5割ですか!

 「私のデータで分析した結果、逆に220より下回ると病気の発症率が急に上がるのです。まったくうその、日本で使われていた基準はまったく逆である。むしろ220より高くしたほうが、日本人は病気になりにくいということなのです」


 なぜそういった数字が出てしまったのでしょうか?

 「これは、実は検診の基準、治療の基準というのは下げると該当者が増えるわけです。例えば総コレステロール270以上とすると、該当する人は人口の3%くらいなのです。
 ところが、220以上とすると中高年の5割がかかるわけです。ということは薬が売れる範囲、人口の3%が対象になるか、50%が対象になるか、そうするとぜんぜん違うと」

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■国際的には否定されている「メタボ健診」の基準!

 そんな中で政府が推し進めてきた特定検診、いわゆる『メタボ健診』が今年始まったのですけれども、これを政府が進めたというのはどういった狙いがあるのですか?

 「一応厚生労働省の説明では、メタボの人は糖尿病になる。糖尿病になると血管を傷つけて、将来心筋梗塞・脳卒中になる。メタボを減らせば医療費が2兆円減る、という数値を示してきたわけなのです」


 それだけを聞いていると「なるほど、みんな健康になったら良いな」と思うのですが?

 「ところが、その根拠になったデータは三重県の政府管掌健康保険といいまして、小さな会社の従業員を対象にした検診のデータを用いて、分析したのです。わずか2500人のデータなのです。
 それで分析して、例えば血圧が高い人、コレステロールが高い人は10年後の医療費が上がったと、そういうデータなのです。
 コレステロールや血圧を下げれば医療費が減るでしょうというのを、2500人を日本全国で拡大すると2兆円という計算なのです。
 ところが私が実はそのデータをもう一度分析しなおしてみると、とんでもないことがわかりました。実は血圧が高くて、コレステロールが高くて、という基準が国際基準からすると間違っているわけなのです」


 先ほどの話にもありましたけれども?

 「コレステロールですと人口の5割が異常、高脂血症という基準が使われています。世界的にみても非常に低すぎる基準なのです。そういう人は将来、単に血圧が高いから薬が出た、コレステロールが高いから薬が出た。それで医療費が上がっているというデータなのです。
 将来心筋梗塞・脳卒中を起こしたというデータではないのです。つまり、世界的にみて低すぎる基準で、健康な人に薬を単に出しているだけだ。要するに無駄な医療費が2兆円だと、こういうことが明らかになってきたのです」


 そうなってくるとこのメタボ健診、特定健診というのは、そもそもの根幹が間違っていると?

 「そうですね。メタボの基準というのは、各国それぞれある。アメリカでいうと2つあるのです。心筋梗塞予防のためのメタボ、糖尿病予防のためのメタボ、というのをみてもわかるとおり、メタボというのは1つの病気ではなくて、それぞれの病気を予防するための生活習慣の目標値なのです。
 ところが日本では、メタボというと病気みたいにして言われていて、しかもそれを治療しないといけないというように言われています。将来病気になると。そういうことでは決してないということなのです。
 日本のそういう基準とか、その考え方はおかしいということを国際的に指摘されていまして、でも日本の基準を否定したのです。これはIDF(International Diabetes Federation:国際糖尿病連合)という国際組織がありますが、そこと、最近ですとアメリカのATP3(米国高脂血症治療ガイドライン)というところがあって、日本の基準はおかしいということで、それで日本の基準は国際的には使うな、ということになりました」


 そういったことがあるにもかかわらず、なぜ政府は推し進めようとするのでしょうか?

 「皆さんもご存知のように、国というのは1回決めますと絶対それを取り下げないと。長崎県の諫早湾をギロチンのようなもので締め切りましたね。それによって諫早湾が死んでしまったという現象が起こっても開けようとしないですね。そういう公共事業みたいなものがいっぱい起こっています」


 えー!それと一緒なのですか?メタボは!

 「そうです。だから官僚がいったん決めて動き出したことは、いくら間違っていると世界的に批判されても絶対取り下げない、というのがあるわけです。
 メタボも国際的に完全に否定されているし、国内外から私どものデータからみてもおかしい、ということがわかっているわけです。学問的には日本の基準はおかしいということがわかって、病気の発症とほとんど関係ない、ということがわかっているにもかかわらず取り下げないという状況が続いています」

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■「ちょいメタ」の方が「健康」な人より健康!?

 『メタボ』と言われると、ちょっと私自身も、今年からABCでもお腹まわりの測定が始まりまして……。

 「もう健診は終わりましたか?」


 ええ、健診は終わりまして、血圧、血糖とか脂質は大丈夫だったのですけれども、いわゆるお腹まわり85センチ以上のところに私はギリギリ引っかかってしまいまして、『これはちょっと大丈夫かな』とかなり心配にはなるのですが。

 「実は男性のウェスト85というのは、日本人の男性のちょうど中央値、平均値なのです。だから結局男性の5割がメタボの第1関門に引っかかるように設定されているのです。
 これは総コレステロール220とまったく同じなのです。総コレステロール220は中年女性の5割を引っ掛ける基準なのです。中高年女性のちょうど真ん中の総コレステロールはちょうど220なのです。
 今年からLDLコレステロールというのに変わりまして、総コレステロール220というのがいかにおかしいか、国際的に批判されて、内外からも批判されて撤回したのですが、今度はLDLコレステロールというのに入れ替えたのです。しかしその基準は140なのです」


 いわゆる悪玉コレステロールというものですね?

 「そうなのです。ところが実はLDLというのがコレステロールの中でも一番重要な、大切なコレステロール。先ほどコレステロールは細胞、ホルモン、神経の材料ですよと言いましたけれども、その材料はLDLコレステロールなのです」


 つまり悪玉コレステロールと言われているものは、悪玉でもないと?

 「悪玉ではないと。実は肝臓で8割、食品から2割入りますが、それが体の隅々に送られて、細胞膜、神経細胞、ホルモンになる。それが今度は回収される、古くなったからいらないと、新陳代謝で回収されるときはHDLなのです。
 したがってLDLというのは悪玉ではなくて、体に必要なコレステロールを送り込むときの形なのです。一番大事なコレステロールを140という基準を使って、それを超えると脂質異常と。脂質異常というのは脂(あぶら)のことなのですが、これが異常だと。
 ところがこれがやはり中高年女性の5割が引っかかるようにちょうど真ん中で使われているのです。これもアメリカでは190。140と190の間に、日本人の5割が入るのです。」


 では私も含めて、私たちなのですけれども、『あなたメタボです』と診断されたときどうしたらいいのですか?

 「そうですね、まずメタボというのは先ほど言いましたように、病気ではなくて、悪い生活習慣の証拠みたいなものなのです。考え方としては。
 したがって血圧が高いから薬を飲む、コレステロールが高いから薬を飲む、これではダメなのです。血圧が高い原因、コレステロールが高い原因を調べて、それを適正な値に持っていく、ということが必要なのです。血糖値も同じです。
 基本的には運動とか、食事、睡眠、ストレスという生活習慣をいい方向に持っていくと、そのために1つのチェックポイントと、症状のチェックというのがメタボなのです。
 もちろん自分の生活を見直すきっかけに使う分には良いのですけれども、本当に悪いとか、本当に病気だとか思い込んでしまうのは危険です。
 実は調べていくと、『メタボ』と言われている人のほとんどは『ちょいメタ』なのです」


 『ちょいメタ』?

 「世界的な基準から見たらセーフなのですけれども、日本の基準でいうとアウト。それが『ちょいメタ』なのですが、『ちょいメタ』の人は実は、厚生労働省が決めた基準をすべてクリアした健康といわれている人に比べると、男性の場合は死亡率は半分なのです」


 えっ!健康な人よりも死亡率が低いのですか?

 「健康な人というのは、厚生労働省が言う『健康』なのです。例えばウェストは85以下で、血圧は130以下で、中性脂肪が150以下で、血糖が100以下でとそういうのをすべてクリアした人と、『ちょいメタ』、日本の基準ではメタボだけれども、国際的基準でいうとメタボではない人を比較すると、男性の場合は死亡率は半分。『ちょいメタ』の人の方が死亡率は半分。女性では死亡率は75%なのです」


 低いのですね?

 「低いのです。日本人は先ほど言いましたように、心筋梗塞の発症率がアメリカ人に比べて少ない。ガンがトップですから、『ちょいメタ』のほうがガンになりにくい、肺炎を起こしにくい、そういうことで良いのです。
 万が一そういう病気にかかったとしても治りやすいのです。体力がありますので」

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■「ちょいメタ」の基準は?

 そもそも『ちょいメタ』の基準が、いまいち見えにくいのですけれども。ちょっと引っかかっているけれどもというくらいなのですか。

 「まずウェストでいうと85〜100」


 100!100でもいいのですか?

 「アメリカの基準は103なのです」


 だいぶゆとりがあるのですね?

 「そうです。中性脂肪でいいますと日本の基準は150なのですけれども、アメリカの基準は1000なのです(笑)」


 1000!150〜1000ですか!

 「150〜1000の間が『ちょいメタ』なのです」


 えー!(笑)

 「血圧でいうと130〜160が『ちょいメタ』」


 血圧に関してはみなさん、心当たりがある方もすごく多いと思うのですけれども。

 「はい。血圧は年齢とともに上がります。だから若い方ですと160になるということはないし、130を超える人もそう多くない。年齢とともに血圧は上がっていくのです。年齢の高い人、私なんかは60(歳)を超えているのですが、そうしますと130を超える人は5割以上になるわけです。160を超える人はそう多くないのです。
 年齢とともに上がっていくのに、若い20歳代の基準で、日本は異常だと言っているのが血圧です。
 調べていきますとお年寄りの場合は、血圧はある程度年齢とともに上がる人が元気なのです。年をとってきますとどうしても血管が硬くなる。これは仕方がない。老化現象で。 その硬くなる血管を使いながら脳に必要なものを送るためには、血圧はある程度上がったほうがいいのです」


 なかなかみなさんの高血圧の予防だったり、薬を飲んで下げたりされている方はすごく多いですよね。

 「むしろ薬で血圧を下げるとどうなるか調べたら、飲まない人と飲んだ人、血圧の人で調べますと、平均すると死亡率が2倍になるのです。薬を飲んで血圧の治療をしている人は、同じ血圧の治療をしていない人と比べて、平均すると2倍になるのです。
 人間の血圧は、先ほど言いましたように必要だから上がるのです。主に酸素と栄養を上げるために上がるわけですから、薬で下げると最初は下がるのですが、しばらくするとまた上がるのです。
 そうすると医師はどうするかといいますと、薬の量を倍にして下げようとする。最初また下がるのですが、しばらくすると上がってくる。
 次に2つ目の薬を出す。そして下げていく。下がらなければ3つめを出す、というように無理やり下げるのです。
 その血圧が上がっている原因を取り除いて自然に下げるということであればいいのですけれども、その原因を残したまま無理やり下げますと、脳に酸素がいかなくなる。そうすると倒れる。卒倒するということが起こるのです」


 いまラジオを聴いているみなさんの中で、血圧の薬を飲んでいる方もたくさんいらっしゃって、心配されている方も多いと思うのですが?

 「そのように薬を出されている人で、薬をすぐに全部やめると、要するに体が必要としている血圧に対して、いま薬で無理やり抑えている。この抑えている力を取り払うとどうなるか、パッと上がるということになるのです。これは怖いのです。
 したがってまず量を半分にする。例えば薬を2つ飲んでいたら1つにする、というように徐々に、しばらく様子を見て、いったんは上がります。しかしまた体が必要なレベルにまで下がってきます。薬を入れるのと逆ですね。
 もう1つは寒い時期にこれをスタートしてはいけない。血圧を上げる要素は寒さということもあるのです。血圧を上げる要素を取り除いた状態で薬を減らすということで、来年の春くらいから量を減らす。半分にする。それから薬の種類を減らす。飲む間隔を毎日ではなくて1日おきにする、というようにだんだん下げていく」


 薬に依存しすぎてはいけないということですね?

 「それともう1つはもちろん、血圧が、もしとんでもなく高いということであれば、その上がっている原因を取り除かなくてはならないのですが、まず血圧が上がる理由は必要だから上がる人がほとんどで、これはまず大丈夫なのですけれども、血管というのはゴム風船のようなものですから、使わないとしぼんでくる。狭くなる。
 そこで同じ量の血液を送ろうとすると、どうしても流れを速くしないといけないので、がんばるということで血圧が上がるのです。したがって時々血管を広げるということをしないといけません。
 1番良いのは、汗をかく運動をするということなのです。薬を飲むということも実は、血管を広げるということで血圧を下げるということなのです。ただ薬は下げすぎという問題があるのですが、そのように汗をかく運動で血管を広げるということであれば、必要なところまで下がりますけれども、下げすぎということは起こらない。
 それと塩分を控える。血管を丈夫にするということも大事ですね。ビタミンとか果物をたくさんとる」


 そういった日ごろの生活が大事なのですね。

「そうですね」

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■「メタボ」じゃなくても糖尿病になる!!

 コレステロールに関しては、『ちょいメタ』基準はどんなものなのでしょうか?

 「まず、実は『メタボ』というのと『特定健診』に1つ違いがあるのです。これはコレステロールについてなのです。『メタボ』では脂質、いわゆる脂系としては中性脂肪150というのと、HDLが40という2つの基準が使われているのですが、実は『特定健診』ではもう1つLDL140というのが入れられているのです。
 もう1つLDLに関しては120という基準もあって、120を超えると『メタボ』ですよと。140を超えると治療ですよ、と2段階になっているのです。いわゆる120を超えると『保健指導』。140を超えると『要医療』、病院にいって治療しなさいという2段階になっています」


 コレステロールがですか?

 「ところがLDLというのが先ほど言いましたように、実は体の材料なのですね。ところが120ということになりますと、140で中高年女性人口の5割なのです。」


 みんな治療しないといけないですね?

 「そう。120でみますと7割くらい引っかかるのです。とんでもないことなのです。
 しかも、住民を10年間追跡調査したところ、女性で120を割ると、死亡率が急激に上がるのです。男性ですと100を割ると急激に上がるのです。
 女性のほうが少し高いのですね。女性は子供を育てるため、お乳を出したりということもありまして、脂肪を蓄える能力が大きくて、使う能力がある。したがってコレステロールも含めていくらたまっても病気になることはないのです。これは国際的にそうなのです。
 女性にコレステロール低下薬を絶対に飲ませないのですけれども、日本だけ実は、コレステロール低下薬が女性を中心に出されています。男性の2倍ほど使われているのです。
 なぜかというと男も女も無視した基準で、いまLDLでいいますと140だと薬が出るのです。これは女性のほうがもともとコレステロールが多いものだから、男も女も同じ基準ですると女性のほうが2倍になってしまう」


 たくさん下げないといけないですものね?

 「ところが女性にコレステロール低下薬を出しているのは、実は日本だけなのです」


 えー!いままでいろいろ『ちょいメタ』についてうかがってきたのですけれども、いわゆるいま言われている『メタボ』よりも、一番気をつけないといけないことは何なのでしょうか?

 「まず日本人の、いま働き盛りの人が気をつけなければならないのは糖尿病」


 いわゆる『メタボ』の先に糖尿病のようなものがあると感じるのですが?

 「厚生労働省も、『メタボ』を抑えれば糖尿病が減るという根拠にしておられるのですけれども、糖尿病になった人を調べてみると肥満ではない人が55%を占めているのです」


 半分以上ですか!

 「そうです。糖尿病はそういうふうに肥満が原因と思われていすが、実は肥満に至る原因が糖尿病の根本的な問題なのです。その1番は運動なのです。
 実はやせていて糖尿になる人が多いのですけれども、筋肉を使わないと糖尿病になるのです。ダイエットをすると糖尿病になりやすくなるのです。そういう体になるのです。
 つまり、日本人のエネルギーのうち6割は炭水化物、つまり主食といわれているのはご飯・パン・麺類なのです。この血糖値を上げる原因は甘いものではなくて、甘くないものなのです。米・パン・麺類の炭水化物、糖分です。これを食べると血糖値が上がってくるということになってきます。日本人は非常に血糖値が上がる食事をしているわけです。
 これは若いときはその糖分は運動によって使われるし、基礎代謝というのがあって、熱に使われるのでいいのですけれども、年とともにそういう基礎代謝が落ちてきます。
 ところが日本人ではお年寄りほど炭水化物を好む傾向があるのです。ご飯がおいしいという世代ですね。そうなると、必要以上に糖分が上がってくる。それが実は、筋肉の中に入ると脂肪に変わって、たまってきたり、血管を傷つけたりということが起こってくる。
 結局、筋肉を使わないと糖分が下がらないのです。だからダイエットをして最初にやせるのは筋肉なのです。脂肪が減るのではなくて、最初にやせるのは筋肉なのです。
 そうすると運動しないダイエットをしますと、筋肉がまずやせてしまう。そうすると、糖分が使われなくなるという体になるのです。そうすると血糖が上がってしまうのです。それが糖尿病を起こしやすくするのです」


 やはり運動が大事と?

 「現代人で一番問題なのは、車社会になってきたりして、体を動かさなくなる、運動不足。それで筋肉がどんどんやせていく」


 なるほど。『メタボ』と診断されて、数字をただ落として大丈夫だと思ってはいけないと?

 「そうです。薬で落としても何の解決にもならない、むしろ悪化させる可能性があると」


 大事なのは運動。

 「そうですね」

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