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07/04/10〜07/04/14 放送 バックナンバー
老後は農業を! 団塊の世代に応援団
ゲスト:NPO百姓塾理事長・芦田正輝さん

聞き手:戸石伸泰記者
 
STOP過疎! 7年前に就農支援の私塾からスタート
じゃが芋の植え付けで『種を蒔くんですか?』
釘の代わりに自分の指を叩いている人もいる
田舎に行って何かをしたい! 夢のある人が長続き
販売力をちゃんとつけた農家が、これからは生き残る
 昭和22年、1947年生まれの『団塊の世代』第一陣が、今年そろってサラリーマン定年を迎える2007年問題。彼らの中には、退職後の第二の人生に農業を選びたいと考える人たちも少なくないようです。でも、憧れはあっても、農家出身でない場合、どうやって農業を始めたら良いのかわからないという方も多いでしょう。実は、そんな人たちのための塾があるんです。今週は、京都府福知山市で活動しているNPO法人『百姓塾』理事長の芦田正輝さんにお話しを伺います。
■STOP過疎! 7年前に就農支援の私塾からスタート

 NPO百姓塾は、いつ、どんな目的で設立されたんですか?

 「最初は、今みたいに団塊の世代が退職するということは考えなかったんですよ。
 作った目的は、田舎がね、順番に荒れていきますわね。要するに、荒廃農地が増えてくる。それを守るためには、やっぱり若い者がおらんと具合が悪い。今の田舎といったら、本当に年寄りばっかりですからね。若い者はいない。
 と言って、息子が都会から帰ってくれるかと言ったら、それももう一つアテにできない。
 それなら、いっそのこと都会の人を呼ぼうじゃないかというのが、これ(百姓塾)の始まりなんです。元々は、農地を守りたい、過疎を防ぎたい、それが本当の目的です。
 それで(百姓塾を)作った後、塾生として入ってこられた方、1回目から3回目までは割と半々だった。半々と言うのか、ある程度、年代がバラバラになっとった。20代もいる、30代もいる、40代もいる、とね。
 それが徐々に、今現在は、団塊の世代がほぼ7〜8割占めますね」


 結局、このNPO百姓塾が立ち上がったのはいつですか?

 「立ち上がったのは、4回目の時からやから、何年になるんだ?」


 その前の組織もあったわけですか? 

 「その時は、私塾です」


 その就農支援をしようという私塾を立ち上げたのは何年ですか?

 「平成12年やね」


 2000年ですね?

 「はい、はい、そうですね」


 それで4年目でNPO法人(の資格)が取れた?

 「そうですね。でね、とりあえずNPOになって、何が変わったかと言ったら、そんなにひどく変わってないんですよ、私のところがやっている活動は。
 ずっと同じことをやっていますけど、変わったのは年齢構成が徐々に変わってきているということですね」


 若い人よりも、いわゆる団塊の世代、高齢の方が増えてきた?

 「はい、はい、増えてきた」


 今年から2007年問題で、団塊の世代の第一陣の方がドドッと退職しますけど、去年、一昨年辺りから早期退職という形もありましたものね?

 「そうです。早期退職は、もうねえ、私のところは3期生の方から、そんな方がおられます、早期退職で田舎に来たいという方は。
 だけど、本当に増えてきたのは、一昨年ぐらいからですね」


 今まで、この百姓塾の卒業生と言うんでしょうか、入塾された方は、延べ人数で何人ぐらいいらっしゃった?

 「120名ぐらいかな。
 だけど、そのうち実際、田舎に行ったと言ったら、27家族ほど。
 一番遠いのが、高知県十和村(現・四万十町)に行っている人。その次は福井県とかね。あとは淡路島とか、兵庫県とか、バラバラに散っていますけど」


 今、学校は新学期が始まるんですけど、百姓塾もそういう時期なんですか?

 「3月の第3土曜日から始まったんです。第1回は終わりました。今度は4月です。
 基本的には月に2回です、第2土曜と第4土曜ね。4月は14日ですか、それが2回目。今、現在始まっていますよ、もう」

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■じゃが芋の植え付けで『種を蒔くんですか?』

 具体的なカリキュラム、授業なんですが、月に2回、第2と第4の土曜日に福知山市の芦田さんのお宅に集まる?

 「いや、私の家ではなく、もうちょっと離れた所の畑に集まる、現場にね」


 朝早くから集まるわけですよね?

 「午前10時からね」


 で、通年ですか、1年間?

 「11月までね」


 3月から11月まで?

 「そう、そう、そう」


 さて、どんなことを行なうかということですね?

 「今年3月24日に始まりましたやろ。今度は4月14日。この日は農作業があって、夏野菜の植え付けのための準備やね。野菜畑をちゃんと植え付けるようにする準備」


 要するに耕すわけですか?

 「そう、そう。まあ、そのためには、どうしてもトラクターの練習をしてもらいます。
 で、もう1つが、鍬とか、鋸とか、鉈の使い方。これは何故かと言うと、やはりモノを植え付けるということは、猪とか鹿などの野生動物から守らなければならん。守るために、(畑の)回りにネットを張ったり、色々しなければならんわけですから、そのために鋸とか鉈で、竹薮に行って竹を切って、柵を作る支柱の準備とかね」


 そうか、当たり前と言えば当たり前ですけど、柵の材料も山から切り出してくるわけですね(笑い)?

 「そうですよ。そりゃホームセンターに行けば簡単に手に入りますけどね。何から何までお金を出せば良いというのではなしに、自然にあるものを利用するという。やはり、そうしなければ、本当の意味で自給自足になりませんやろ」


 大体、お金が無いわけですからね、基本的には?

 「お金をなんぼでも使っていたら、キリがないですしね。
 で、その時に、もう1つが山菜の収穫ね。蕨、ゼンマイ、筍、それからタラ」


 タラの芽のタラ?

 「そう、そういうもの。だけど、都会の人は、全てが初体験なんですよ」


 そうでしょうね、私も経験したこと無いですもの。

 「鋸の使い方ひとつ知らない人がいるし……」


 鋸ぐらい知っていそうな感じですけど、そうじゃないんですか(笑い)?

 「いやあ、知らんですよ、押して切る人がいるからね。鋸は引いて切るからね。外国の鋸は押して切るけどね(笑い)」


 そうか、図工の時間に習ったことを忘れていますよね(笑い)。

 「面白いことに、3月の24日ね、じゃが芋の植え付けをしたんですけど、じゃが芋の植え付けさえもわからない人がいるからね。じゃが芋は、芋を半分に切ってね、それを地中に入れていくんだけど、面白いことに『種を蒔くんですか?』という人がいてね(笑い)。で、『いや、違うよ』と、『じゃが芋はこのようにして、大きな芋なら半分に切って植えるんですよ』と。
 すると『さつま芋もそうするんですか?』と言う人がいてね(笑い)。『いや、さつま芋は蔓ですやろ』と。
 それぞれ違うからね。都会の人は食べるのは上手だけどね(笑い)」


 どうやってそれができたかは、ほとんど知らないですね(笑い)。私も反省ですがね。

 「そんなことで、4月14日はそういう準備、準備というのは、やはりちゃんとした畝をこしらえる。畝というのはわかりますか?」


 畝はわかりますね、畑に(作物を)植える所を山のようにして、ダーッと列にする。

 「そう、そう、あの真ん中にね、堆肥とか、そういうものをちゃんと入れておかなければならんですからね、肥料分をね。それの用意をちゃんとして、それで、今度2週間後の4月28日ね、今度は茄子、胡瓜、西瓜とか、色々な夏野菜を植えます。
 その頃に、今度は畑の周りの畦とか土手ね、ここにもう草が大分生えていますから、草刈機の実習やね」

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■釘の代わりに自分の指を叩いている人もいる

 「普段、農家がすることを全部、一通りやりますけど」


 田植えもやるんですね?

 「5月12日に田植えね。これは田植え機に乗ります。田んぼの中にね、腰を曲げて手で植える、そんなことを教えられませんからね、今はもう、ほとんど機械ですから。
 で、そこまでして、植え付けた野菜の管理。周りにやっぱり草が生えてきますから、その草を引いたりして管理をします。
 で、それから今度は栗園の草刈りなんですけど、これは栗の木の下の草が一面になりますから、それを刈ります。
 で、その刈った草は、そのまま捨てるのじゃなくて、それを集めて、畑に植えた茄子とか胡瓜の地面に、地面が乾かないように、もしくは草が生えてこないように敷き詰めるんです。そういう1つの草の利用方法ですね。そういうことを教えています。
 そんなんで、ずーっと6月、7月まで行くんですけど、その間、7月になったら小豆や大豆の植え付けとか、それぞれの季節ごとに植え付けるモノが変わってきますから、そういうものも教える。
 それと作業小屋作りというのがあるんですけどね。これは、山に入って、俗に言う間伐材、植林した木を間伐するやつ、その間伐材を切って、それはチェーンソーで切ってもらいますが、それを(山から)出してきて、その間伐材を利用して小屋を作ってもらいます。これは、全員共同でね。
 そうしないことには、田舎暮らしをした時に、ちょっと何か物置小屋が欲しいなといった時に、ある程度の大工仕事ができなければ。そういう意味で、こういう小屋作りもさせていますけど。まあね、鋸、ノミ、それから釘を打ったことが無いという人が大半ですから、釘の代わりに自分の指を叩いている人もありますけど(笑い)。まあ、そんな痛い思いをしたらね、忘れませんからね(笑い)」


 厳しいな(笑い)。

 「それと、もう1つは、田舎に行く場合は、色々な法律をクリアしなければならないんですよ。農地法とかね、農振法という法律があるし」


 農振法とは?

 「農業振興地域(の略)」


 農業振興地域法ですか?

 「まあ、そういうものです(正確には農業振興地域整備法)。そこに指定されていたら、指定されている中では家は建てられないとかね。
 それから都市計画法の中の(市街化)調整区域というのがありますわね。調整区域の中では、家が建てられないんですよ。建てられるのは農業者じゃないとあかんしね。
 問題は、そこで農業者という資格が必要ですわね。で、その資格を取るためにはどうするかと。都会の人が来て、農業をしているからといっても、農業者じゃないんですよ。
 だから、農業者になるためには、色々な手続きが必要ですから、そういう手続き上の勉強、これは行政書士とか司法書士を呼んで、これは勉強します。
 あとは、秋に、一番皆さんが楽しい収穫の時期なんやけど、だけどね、夏ね、6月の後半から7月、8月、ものすごく暑いですやろ? ここでね、脱落する人がいるんですよ。『もう暑いから、たまらん』と。だけど、そこをね、もうあとちょっと我慢すれば、秋の楽しい時期になるんだけど、だけどやっぱり体力が続かんのかな、脱落される人があります。
 こちらは、引きとめも何もしませんけどね。だってね、1ヶ月でたったの2日ですよ。2週間に1回ね。これが我慢できなかったらね、田舎暮らしはできませんよ」

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■田舎に行って何かをしたい! 夢のある人が長続き

 収穫したモノを売りに行くということもするんですって?

 「8月に秋冬野菜を植え付けるんですよ。白菜、大根、カブラとかね、本当の冬野菜ですね。それを11月に売り出します。高速道路で売り出しますけれど」


 パーキング・エリアとかでですね?

 「そう、そう。そういう所でね。
 で、売り出しはね、はっきり言って、形が悪いモノばっかりです、売るのは」


 野菜ですよね?

 「だって、素人がこしらえていますからね。
 だけど、私がどうしてもこれをしたいのは、理解して欲しいのは、都会に住んでいる時は消費者、消費者の感覚の時には、大根1本100円とか言われたら『高いなあ』、50円やったら『まあ、ええか』ということになるんですけど、自分たちが作った大根がね、やっぱり自分たちが8月に植え付けてからね、長い間管理してきて、それが50円では『どうやろう』と、こうなってね。
 それなら100円で売りなさいとした場合、100円では売れないと。要するにギャップが出るんやね、生産者と消費者との。それを理解して欲しいがためのね。
 だけど、他にも、餅をついて餅を売るとかね、それからスィートポテトにして、それを売るとか、そういう色々なことをするんですけど、やはり加工品の方は、ある程度の値段を付けても都会の人は買ってくれますからね。
 まあ、そのためには、女性が頑張ってしなきゃ」


 なるほど、農業をするにも、御主人は憧れてやっているものの、奥さんは引っ張られるようにしてやっている人がいるけど、奥さんもそういうところでは頑張ってもらわないといけない?

 「今ね、農業はね、ほとんどが機械化になっていますからね。一所懸命、鍬で土をおこすということはありませんから。ほとんど耕運機とか、トラクターとか、色々な機械を使ってやりますから。もう、ほとんど男の人だけでできます。
 で、奥さんは、家の中でできること、旦那さんが収穫してきたモノを自分なりにアレンジをしてね、何かを作り出す。そうしたら、うまいこと生活ができていくんじゃないかな」


 NPO百姓塾なんですけど、入塾の試験とか資格とか、そういうものはあるんですか?

 「試験は無いですよ。ただ、面談はさせてもらいます。
 面談して、『農業体験をしたい』とか、『定年退職した後、田舎に行って農業でもするか』とか、これでは、私はあきませんな」


 あきませんか?

 「やはり、田舎に行って何かをしたい、例えば木工をしたいとか、陶芸をしたいとか、農業は後からついてくるものですよ。だから、何かをしたい、そういう夢がある人は、大体、私のところは優先的に採ります」


 農業が後からついてきても、将来的に地方に住み続けて、何かをしたいという方は良いわけですか?

 「そう、そう。だって農業というものは、田舎に行けば、避けて通るわけにはいきませんから。やはり、自分が食べていく分だけの少ない面積でやっていても、農業は農業。
 だけど、他に何かの夢があったら、その夢のために(何かを)四六時中するわけにいきませんから、やはり自分の家庭で食べる分だけは自分でこしらえたい。その余分な時間で何かの夢をかなえる。そういう、やっぱり夢のある人でないと長続きしないのと違う?」


 ちなみにNPO百姓塾の費用というのはいかほど用意しておけば良い?

 「5万5千円です」


 5万5千円で、月々2回、この福知山に来てということですね?

 「そう。5万5千円が高いか安いかは、本人の判断次第ですな」

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■販売力をちゃんとつけた農家が、これからは生き残る

 日本の農業を取り巻く環境は薔薇色ではない、むしろ厳しい状況が多いと思うんですけど、今、何が問題だと思います? やっぱり過疎とか、後継者不足が一番の問題ですか?

 「(それは)大きな問題は大きな問題やね。だけど、今、もっと大きな問題が起こってきよる」


 それは何ですか?

 「私は、今のままの農業形態、要するに形ね、農業経営は徐々に変わらざるをえないなと思っていますよ」


 今まで自民党がずっとやってきた55年体制というのは、どうしたって工業よりも農業の方が所得的に厳しい状況にあるから、そこを補助金で補おうという施策でしたね? ところが、それを変えようという話に最近なってきた。で、やっぱり(農業も)自主自立してくれということで、1つの答えとして国は大規模農業経営というのを示していますが、これをどう御覧になりますか?

 「だけど、今の農村、農家ね、大規模となった場合、全て当てはまらないのと違う?」


 ですよね。

 「大規模農家だけ優遇されるようなことをされたら、普通の小さな農家は全て切り捨てとなったら、例えば極端に言ったら、小さな農家は『もう農業、止めや』となる。で、大規模農家に全部土地を集約する方法をとっていった場合、皆が持っている技術ね、それが全てなくなっちゃうということ。継いでくれる人がないということ。
 それで、その技術が皆、大規模農家、機械化で省力化になった、そういうところばっかりになってしまう。でも、その大規模のところも、やはり同じように高齢化ばっかりです、今はね。それが、果たして何十年もそのままの状態で続いていくのかなと思った時に、若干疑問は出ますわね。
 やはり、日本は小さな農家が集まって、1つの今の農業がありますから、そういう小さいところにちゃんと目の向く農政をして欲しい。
 それは、補助金をそちらの方に回せというのじゃないですよ。
 問題は、販売力までちゃんとつけた農家が、これからは生き残るんじゃないかなと、私はそう思っていますし、実際、私のところでも、ほとんど農協へは出荷していませんからね」


 独自の販売ルートを開拓されている?

 「そう、そう。だから、もっともっと農家がね、自分たちで努力しなきゃ」


 (NPO百姓塾は)3月から始まっているそうですけど、今年度の塾生というのは、まだ空きがあるんですって?

 「そうですね、欠員は3名ほどあります。
 まあ、私のところに申し込まれるのは、一番早い人で去年の8月。これがね、インターネットを見て申し込んでこられたとかね。あと、私のところが京都と大阪で説明会をした時に来られた方、総勢50名からになりましたけど、正式に私のところに来てくださいと言ったのが20名ね。
 だけど、開校式の時に来られなかった人がある。私からは、『何で来ないんだ?』とか、それはあまり言いませんけど、だから、今現在、3名の枠はあります」


 じゃあ、このラジオの放送を聴いて、ちょっと興味を持った、やってみたいなという方は芦田さんの所に連絡をいただくと、また面接という形で?

 「そういうことですね。ちゃんと夢のある人に来てもらわないと困るんですけど(笑い)」

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