05/07/26〜05/07/30 放送 バックナンバー
戦後60年特集 非核平和都市ヒロシマの真実
ゲスト: 山口県平和委員会・久米慶典さん
フェンスの向こうは米国。日本国憲法では守られない!?
夜間着艦訓練の恐怖! 赤ん坊がひきつけを起こす!
私達の血税2400億円を使って最新鋭の米軍基地が作られる!
広島湾周辺には、10万t強の米陸軍弾薬庫や海自、陸自の基地も
核があっても言わない『嘘とごまかしの基地政策』を包囲せよ!
 人類史上初めて原爆が広島に落とされてから、間もなく60年になろうとしています。広島市は、戦後一貫して核兵器の悲惨さを訴え、非核平和都市ヒロシマの名前は世界中に知られるようになりました。しかし、実はその平和都市の呼び名とは裏腹に、広島市を中心とした広島湾をぐるりと囲む地域は、アメリカ軍と自衛隊の施設が集まり、軍事機能が強化されつつある地域なのです。今週は、広島湾の西の端、山口県岩国市でアメリカ軍基地の監視を続けている山口県平和委員会筆頭代表理事の久米慶典さんにお話を伺います。
■フェンスの向こうは米国。日本国憲法では守られない!?
 米海兵隊岩国基地を案内してもらいましたが、ものすごい戦闘機の爆音でしたね?

 「そうですね。今日聞いた程度の騒音は、日常的にいつも被害を受けています」


 岩国基地は、ものすごく大きな基地ですね?

 「在日米軍基地の航空基地で、ここよりも大きい基地は、嘉手納基地とか三沢基地とか横田基地とかあります。しかし、米軍の航空基地の中で一級の基地だと思います。
 特に今、新しい基地を建設しているんですね。『滑走路移設事業』という名前で、新しい滑走路を作っています。これが完成すると、米軍の世界戦略の中で非常に重要な基地になるのではないかと地元住民が大変に危惧しているところです」


 米軍基地は、市街地にすごく近い所にありますね?

 「岩国市の真ん中に位置していると言って過言ではないと思います。住民が、大変な騒音被害を被る所に基地はあります。
 そして、岩国市の中でも一等地ですよね。海沿いの、非常に利用価値のある所に米軍基地が居座っていると言えますね」


 沖縄本島と同じような光景ですね?

 「そうですね。沖縄とやはり非常に共通性がある、そんな基地だと思います」


 久米さんが、米軍基地問題と取り組み始めたきっかけは?

 「私の生まれは岩国ではなく、四国・徳島なんですけど、大学を卒業して、会社勤めになって岩国にやって来ました。
 米軍基地というのは、日本全国にそうはありません。とりわけ私の住んでいた四国に米軍基地は無いんですが、岩国に来た時に非常に違和感があったというか、異常な感じがしました。
 で、地元の岩国で、基地の監視やら基地問題に取り組んで粘り強くやっている人達がいて、そうした人達と一緒に様々な運動に取り組むようになったというわけです」


 戦後、進駐軍の頃からこの状態は続いているんですか?

 「基地がこういう形で居座っているという意味では、その通りです。
 大変に屈辱的な事件もたくさんあったという風に聞いています。例えば、橋の上から日本人が米兵に投げ飛ばされるとか。特にベトナム戦争の時だったと聞いていますが、大変に殺人事件が多かったとか。
 そういう騒音被害にとどまらない、大変な被害を被ってきていると聞いていますし、私も見てきました。
 米軍基地は、日本じゃないんです。フェンスの向こうは米国です。日本の法律はききません。米軍基地に行くと、『日本の法律のように罰せられます』いう看板がかかっています。
 これはね、誤解してもらったら困るんですけど、私は今、日本には2つの法体系があると思っています。1つは日本国憲法に基づく法体系。いわゆる刑法とか民法とか、そういうものですね。もう1つは、日米安保条約に基づく法体系です。実は、日本国憲法の法体系と日米安保条約に基づく法体系とには相反するものがあります。
 米軍基地に書かれている日本法規というのは日米安保条約に基づく日本の法律です。これは、最高法規の日本国憲法の為の法律ではありません。私は、日米安保条約に基づく法律を日本国民の法律だとは言いたくない、思いたくないです」

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■夜間着艦訓練の恐怖! 赤ん坊がひきつけを起こす!
 米軍再編で岩国の負担が増えると言われていますね?

 「今、言われているのは、岩国基地に、神奈川県の厚木基地の米海軍艦載機部隊がやって来るのではないかと言う事です。
 そして、岩国基地で着艦訓練をする。着艦訓練といっても、NLP(Night Landing Practice)という夜間の着艦訓練ですね。岩国でこれをやるという報道がされています。
 空母の甲板に着陸するのはすごく難しいんだそうです。わずか200〜300mの甲板に降りるわけですから。一点目指して確実に降りなくちゃならない。しかも真っ暗なところに降りると。
 海軍のパイロットは、その技術を維持しなければいけないので、着艦を想定した着陸訓練をするわけです。で、いつもタッチ・アンド・ゴーという離陸をして着陸をしてそしてすぐまた離陸をするという激しい訓練をやっていると聞いています」


 何故、厚木基地の航空部隊を岩国に持ってこようとしているのですか?

 「今、米軍は、NLPを硫黄島でやっています。これは、ずいぶんと遠い所なんですよ。厚木から約1200km離れている。パイロットが疲れて困るんですって。天候も非常に不順だと聞いています。近くでやりたいというのが、ずーっと一貫した米海軍の要望なんですよ。
 日本政府としては、それを是非かなえてあげたいと思っているんですが、なかなかできずにきた。三宅島でも反対運動が強かったし、火山の活動なんかもありました。どこかに見つけたいと思っているわけです。で、考えたのが、新しい滑走路を作っている岩国基地。『ここに移転すればカタがつくじゃないか』と政府は思ったんじゃないでしょうかね。
 しかも、厚木基地の空母艦載機部隊は、NLPだけじゃなくて日常的にうるさい訓練をしますから、どうせなら岩国基地に持っていけばどうかというのが検討されているのではないでしょうか。あくまでこれはまだ報道の段階で、実際どういう案が出てくるかは解らないんですけど、今言われている様々な事を考えてみると、そんなところではないでしょうか。
 もちろん、こんなことは住民としては絶対に許されないことですけどね。
 実は、1998年に岩国ですごいNLPをやりました。5日間やったんですけど、ものすごい苦情が出ました。5日間で、岩国市等に938件の苦情が寄せられています。この数は、その前年97年の1年間に岩国市に寄せられた苦情数の約6倍なんですよ。
 先程、浦川さんもジェット戦闘機の騒音を経験されましたが、肉体的にすごく苦痛を感じるでしょう。ちょっとうるさいとか、そんなんじゃないでしょ。肉体的に苦痛を感じますよね。ですから98年には、赤ちゃんがひきつけを起こしたって事が言われています。それから鶏が卵を産まなくなった。うるさいから勉強ができないとか、眠れないとかそんな段階じゃないですね」


 7年前の悪夢が、岩国にまたやってくる可能性があるわけですね?

 「岩国市民、それから周辺の自治体も大変にその事について心配をして、この6〜7月、各々の議会でNLPに反対する、そして厚木基地の岩国移転に反対する決議があげられています。7月には、政令指定都市で100万都市の広島市で反対の決議があがりました。
 岩国市は、原爆の爆心地から35キロメートル位しか離れていないんですよ。そういうわずかな距離しか離れていなくて、そこで人殺しの為の訓練が行われているという事について、広島県民や広島市民が大変な嫌悪感を持っておられるという事を感じますね」

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■私達の血税2400億円を使って最新鋭の米軍基地が作られる!
 岩国基地の滑走路移設工事について教えてください?

 「今、新しい滑走路を作っているんですけど、これはなかなか複雑な経過がありまして。
 実は、岩国市民の方から『滑走路を1km沖合に出してくれ』という申し出を国にしたんですよ。そこから始まっているんです。
 市民は、『騒音や事故があるから、沖合に出してくれ』とずっと言ってきたわけです。これに対して国は、ずっと『そんな事、なかなか難しい』と言ってきたんですが、平成4年に、急遽という言葉を使っても良いと思うんですけど、『やろう』となったんですね。
 当初は1600億円の思いやり予算(国民の税金ですね)でやろうという事になったんですが、事業が始まるとどんどん膨らみまして、今は2400億円にまで膨らんでいます。2009年3月末に完成が予定されています。
 私達平和委員会は、この事業について、『基地の拡大強化だ』という事で一貫して反対してきたんですが、今、この滑走路移設事業が大変なものだという事が解ってきました。
 これは、全くの新しい基地の建設だったんです。新しい滑走路を作る。新しい弾薬庫を作る。今までに無い水深13mの岸壁を持っている港湾施設を作る。駐機場を作る。新しいヘリポートを作る。管制塔を作る。これはもう新しい基地の建設ですよね」


 今ある基地、陸地に近い基地は今後どうなるんですか?

 「弾薬庫等は閉鎖されると聞いています。ただし、最新式の弾薬庫ができるわけですね。それから、米軍は、今ある滑走路を誘導路として残すと言っています」


 岩国市や山口県に返還されないんですか?

 「まったく跡地計画はありません。事実上、滑走路の2本化だという事が、だんだん解ってきたわけですね。
 213haを埋め立てるんですけど、そこにできる基地は最新鋭のものができる。今は570haなんですけど、これが約800haになるわけですね。
 で、そういう風になった時に、米軍がどういう事を考えているか。今、米軍の再編(トランスフォーメーション)という事が言われていますが、この中で非常に岩国基地を重要視する結果になっています。私達は、この滑走路移設事業、つまりは新しい基地の建設が、新しい米軍を呼んでくる呼び水になっているという風に考えているところです。
 平成4年に、国が滑走路移設事業の着手を決定したと言いましたけど、ちょうどその年の6月に、防衛施設庁と県と市の担当者が合意議事録という、私達から見れば密約なんですけど、それを交わしているんですよ。その中には、『将来は、NLPを岩国基地でやる。それはもう致し方ないだろう』という一文が入っているんですよ。ただし、『それは、あくまで担当者間の記録で、決して誓約するものではない』というのが、県や国や市の正式の答弁なんですけど。既に平成4年の段階で、岩国基地でNLPをやりたいという国からの内々の申し出あり、県と市は内々で受けていたという事が明らかになっているわけですね。
 住民の方々は、事故や騒音を無くす為に滑走路移設事業をやっていると思っているわけですね。しかし、国や米軍の方では、『あれは、事実上NLPの為の滑走路の移設だ』と考えても不思議はないでしょうね」

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■広島湾周辺には、10万t強の米陸軍弾薬庫や海自、陸自の基地も
 岩国基地は、何故この地域に整備されたんでしょう?

 「元々、広島市を中心とした広島湾と広島湾沿岸は、戦前からずっと軍事集積地だったんですよ。
 例えば、広島市から少し南に行くと、呉という海上自衛隊の非常に重要な基地がありますね。ここには、たくさんの海上自衛隊の重要な艦船が集結していますね。
 それから、弾薬庫地帯が広島湾沿岸にはあります。『秋月弾薬廠』と言って、米陸軍が管轄をしています。東広島市にある川上弾薬庫、江田島市にある秋月弾薬庫、そして呉にある広弾薬庫、これら3つを総括して『秋月弾薬廠』と言っています。川上弾薬庫は7万t貯蔵できる。秋月弾薬庫は3万t、ヒロ弾薬庫は1.5万tという大きな弾薬庫地帯を持っています。
 それから、江田島という広島と呉のすぐ近くにある島ですけどね、ここには昔の海軍兵学校跡があって、今でも海上自衛隊の幹部候補生達が勉強をしている学校があります。
 そして岩国基地は、広島湾に面しているわけですけど、岩国基地のすぐ前には姫小島という米軍の弾薬処理場があります。その向こう側には甲島という広島県大竹市と山口県由宇町の2つの行政区になっている島があるんですけど、そこには岩国基地のヘリコプターの為のヘリポートもあります。
 それから、広島市のちょっと東側の海田という町に、陸上自衛隊が13旅団という大変大きな部隊を置いています。この旅団は、島根、鳥取、岡山、広島、山口の中国5県を担当している軍隊なんですけど、海田にはその司令部があります。
 ですから、広島湾全体は、従来から軍事集積地であったし、今もその状態は変わらないわけです。旧日本軍が使っていた所が、そのまま、米軍や自衛隊に使われている。岩国もそうですけどね。岩国も旧日本海軍の基地だったわけです。そして、それが、時と共にどんどん最新鋭のものに強化されている。そういう実態があるんですね。
 だから、非常に皮肉なんですけど、『平和都市ヒロシマ』と言っていても、実は広島湾や広島市周辺は、非常に日米の軍事施設が集まっている所なんですね。ちょっと沖縄以外、全国でもそんなに例のない地帯になっていると思います」


 何故、広島湾周辺に軍事施設が集積するんでしょう?

 「呉は、地勢学的に、非常に敵の攻撃から守りやすいので基地が置かれたというのは聞いています。
 それともう岩国は、非常に気候条件が良くて、航空基地に適しているという事があるようです。飛行機が飛べない日が非常に少ないんだと聞いています」

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■核があっても言わない『嘘とごまかしの基地政策』を包囲せよ!
 岩国基地の弾薬庫に核兵器を置いていたことがあったというのは本当ですか?

 「様々な方々の総括的な見方なんですけど、岩国基地には核兵器の要員がいて、核兵器の組み立て作業場があって、間違いなく核があっただろうという事は解っていることです」


 日本には非核3原則があって、核を持ち込んじゃいけないとなっているのに何故?

 「これは、なかなか難しい話ですね。国の政策と非常に関係する事なんですけど、核の問題だけでなく、基地の問題全てに関係すると言えるんですが、嘘とごまかしがあるんですよね。ですから、政府にどれだけ『核があるだろう?』と言っても、絶対に認めない。まあ、ごまかしちゃうわけですね」


 その辺り、広島湾全体として頑張っていけないものなんですか?

 「今、NLP反対、それから厚木基地の岩国基地移転反対の声は、どちらかと言うと山口県より広島県の方で強く大きく上がっているんですよ。
 広島市がNLP反対の決議をやりましたし、その他、江田島市、廿日市市、大竹市、大野町、宮島町も反対しました。全部広島県です。
 もちろん山口県も、柳井市、由宇町、和木町という所で反対決議をあげています。そういう面では、岩国基地が本当に反対の自治体に包囲されている状況です。今までこんな事は無かった事です。
 広島の皆さんは、岩国基地の問題を本当に広島湾の問題、自分達の問題として受けとめていると思います。岩国市民の中でも、階層を越えて、『厚木基地移転反対、NLP反対』という声が広がっているのを私は今実感しています」


 米軍再編の中で基地問題をどう考えていったら良いのでしょう?

 「米軍再編がどういうものかというところから考えなくてはいけないと思うんです。米軍再編は基地の整理縮小とは全く違うものです。米国が今の世界状況に応じて、米軍の再編をしているわけです。その中で基地の再配置もあるわけですけど、あくまで米国の都合によってやられているのが米軍再編ですよね。その中で日本がどんな役目を負わされようとしているのかを、やっぱり考える必要があります。
 米国が、今、考えている事は、日本を米国の世界戦略の出撃拠点にしようという事です。そこが非常に大切なところじゃないかと思うんですね。岩国の航空機もイラクに出撃しました。そして、ファルージャの虐殺に参加したという風に言われています。岩国基地で日頃訓練をしている戦闘機が、実際イラクで人殺しをしてきたかと思うと、憤りを感じると同時に大変なやりきれなさを感じているというのが本当のところです。
 先程私は、『嘘とごまかし』と言いましたけど、住民の皆さんに本当の事が伝わっていない。もちろん、今、伝わりかかっているんですが、そこのところを社会全体の大きな力で、1歩も2歩も突破していかなければいけない事だと思うんですね。そして、基地の拡大強化に反対をしていく大きな世論と運動を広げていく。もちろん基地に関わって暮らしている人もおられます。そういう人達の理解も得ながら基地の返還を目指していく。
 なんといっても戦後60年、ずっと外国の軍隊がいるわけですから。これは、どう考えても異常なんですよね。そういう事態を解消していく。まあ、息の長い事かも知れませんけど、それしかないと思っています」

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