| 小米朝 |
『地獄八景亡者戯』っていうのは、あれはちゃあちゃんがいてはれへんかったら、今はもうなかったんですよね。 |
| 米朝 |
そうかも...いや、まぁ、それは分からんけども、あの噺はね、(文の家)かしく師匠がね、ある会でやらはったんや |
| 聞き手 |
京都でしたっけね。 |
| 米朝 |
うん。それですぐ稽古に行ったんや、あれ教えてくれちゅうて。それはものすごい古風な、何もかもが明治初年みたいな噺やったんや。それをまぁ、新しくしたんやけどね。 |
| 小米朝 |
ああ、なるほどね。『地獄八景亡者戯』っていうのは、その時代その 時代の、現代の噺ですよね。 |
| 米朝 |
そうそう。それを掴み込んでる噺やからな、世相やら風俗やらを。 |
| 小米朝 |
今なら2007年のこの時期にあの世へ行ったという設定ですもんね。 |
| 米朝 |
そういうふうに出来れば一番ええんやけどね。かしく師匠がやって はったのは、明治の噺や。その時点からちょっとも新しい、なって
なかったんやな。 |
| 小米朝 |
それを現代にしたのは、師匠ですもんね。 |
| 米朝 |
もうドンと、新しくしてしもうたんやけどね。何でも入れられるわ な。あの噺は。 |
| 聞き手 |
じゃあ、娑婆のくだりから人呑鬼のくだりまで、全部やらはったわ
けですね、かしく師匠は? |
| 米朝 |
う〜ん、そんなに長いことなかった。だいたい筋は通ってた。 |
| 小米朝 |
その時で何分ぐらい? |
| 米朝 |
30分ぐらいかなぁ〜。 |
| 聞き手 |
じゃあ短いですね。 |
| 米朝 |
途中のごちゃごちゃはあらへんのやからね。 |
| 小米朝 |
じゃ、途中のごちゃごちゃを考えたのは... |
| 米朝 |
ドンドン入れていって、膨らましていったんやから。 |
| 小米朝 |
で、60〜70分の長いネタになったと。 |
| 聞き手 |
で、またその1時間10分なら1時間10分やらへんかったら、さぼ
ってるというか、力を抜いてると思われてしまいますよね。 |
| 米朝 |
私がやり出してからそうなってしもうたんや。 |
| 聞き手 |
米朝師匠でもちょっと短かったら、「今日はちょっと」とかね。 |
| 小米朝 |
僕も恥ずかしながら何度かやらしてもらいましたけど、あれはやっ ぱり全部やってこそ値打ちのあるもんやなと思いました。しかも一
気にね。間に休憩入れる演出も一時ありましたけど... |
| 聞き手 |
ありましたね。枝雀さんやってはりましたね。 |
| 小米朝 |
でもそうじゃなくて、休憩無しで1時間から1時間ちょっとやって、
テーマはなんや言うたら、やっぱり地獄絵巻ですね。人呑鬼の腹ん中へ入って亡者が暴れるっていうのが、あそこへ向けていろいろあ るんやなぁ〜っていうのが、やって初めて分かりましたですね。 |
| 聞き手 |
どの辺が一番しんどいんですか? |
| 小米朝 |
そこへ行く前ですね。一番しんどいのは芸回しのところですかね。 |
| 聞き手 |
あの、芸のあるものは極楽へ通してやるぞというところですね。閻魔大王が。芸のないものは地獄行きやと、手を挙げさせて、芸を披
露させる。そこを芸回しというわけですね。 |
| 小米朝 |
で、いろんな芸をやったりするんですけど、ここで盛り上げすぎた
ら、4人の亡者が人呑鬼の腹中で暴れるくだりが、盛り下がるんで すよ。 |
| 聞き手 |
持たない。 |
| 小米朝 |
持たないんですよ。だからここの兼ね合いが難しいんですよね。 |
| 聞き手 |
米朝師匠、どうですか? |
| 米朝 |
いやまぁ、その通りやねんけども、その間に世相風刺と言うか、時事と言うかね、そういうのがちょいちょいいりますわな。 |
| 聞き手 |
そうですね。亡くなった吉朝さんがね、噺家の出の物真似をね... |
| 小米朝 |
形態模写をね |
| 米朝 |
あ〜は〜 |
| 聞き手 |
こんなことを... |
| 小米朝 |
やってええんやと。そうですね、あれはカルチャーショックでしたね。 |
| 聞き手 |
あれはビックリしましたね。これは米朝師匠は絶対せんこっちゃ、
吉朝さんしか出来んこっちゃと思いました。 |
| 小米朝 |
座布団から離れてね。 |
| 米朝 |
出囃子もみな変えてね。 |
| 聞き手 |
そうです、また上手でしたからね、ああいう物真似がね。 |
| 米朝 |
あんな噺はいろいろと、趣向を考えて遊んだらええのやね。 |
| 小米朝 |
趣向を考えて遊ぶ一団が出来ましたね、今年。 |
| 聞き手 |
そうですね。今度、地獄八景をモチーフにしたお芝居が出来るんで
す。東京が最初ですけど、『地獄八景 浮世百景』というタイトルや そうですけど。関西の放送作家東野さんが脚本をお書きになって、 昔読売テレビにいらっしゃった辻さんという方が独立されて、『G2
(ジーツー)』という名前で活躍されてて、彼が演出する。で、『地獄八景』のサバを食べて死んでと言う筋は全然なくて、地獄八景と いう地獄でのいろんな出来事を元にしたお芝居。 |
| 小米朝 |
そこにいろんな落語の噺が... |
| 聞き手 |
50ぐらい出てくるんですって。 |
| 米朝 |
ウワ〜 |
| 小米朝 |
『地獄八景亡者戯』という話を縦糸にそれ以外の落語が横糸で絡むんですって。 |
| 米朝 |
へぇ〜 |
| 聞き手 |
粗筋を読んだだけですけど、『立ち切れ』に出てくる芸者の小糸が主
人公の女性で、番頭や河内屋の若旦那がふたりをうまいこと添わせ てやろうと思うてるのに、算段の平兵衛、どうらんの幸助、鞍馬天 狗などなどが出てきてですね、ひっちゃかめっちゃかになるそうで
す。 |
| 小米朝 |
うまいこと添わせようというのは、崇徳院みたいな感じですね。 |
| 聞き手 |
ですから落語通にとったら、ここはあれのパロディーや、これはあのくだりや、それがいくつあるんや・・・?、とそういう楽しみ方も出
来るようなものになっていますね。小米朝さんもご相談受けたり... |
| 小米朝 |
はい、僕もね台本読まして頂きまして、すごく面白いなと思いまし
て...。ただ最終的のどうやってまたもとの1本の糸に戻るんかなと いうところ、どうなったんか分からないですよ。G2さんから聞きま すと改訂稿、さらに改訂稿で、綺麗な本になっていっていますと仰
るんで。僕も時間があれば出して頂きたいと思ったんですが、スケジュールが取れないということで、出演は辞退させて頂いたんです。 でもうちの一門でやりたいという人が出ました。吉朝門下の吉弥君と吉坊君が出演します。 |
| 米朝 |
ほぉ〜 |
| 聞き手 |
東京が皮切りで、大阪に2月23〜25日に来ます。監修が桂米朝とな
ってます。是非一度見に行ってください。やっぱり『地獄八景』をお作りなったのは米朝師匠ですから。 |
| 小米朝 |
それがあってこその芝居ですからね。 |
| 聞き手 |
俺が作った地獄がこないなるかと |
| 米朝 |
(笑) |
| 聞き手 |
笑わはるか、怒りはるか |
| 小米朝 |
どっちかや(笑) |