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スペース 9月24日第72回
〜米朝よもやま噺。今週は兵庫県尼崎にあります、米朝さんのご自宅からお送りします。ただ今高座への復帰に向けてリハビリ中の米朝さん。お相手は一門の桂千朝さんと小米朝さん、そして大阪ABCテレビの市川寿憲です。〜
聞き手  師匠退院おめでとうございます。
米朝  おかげさんで、いろいろとご迷惑をかけましたけどね、骨というものは不思議なもんやね、これ。ほっといたら変なふうに固まるらしい。そうならないためにコルセットをはめるらしいですわ。
聞き手  どうですか、家に帰られてゆったりされてます?
米朝  酒も飲むしやね、ちょっとも病人らしいことないんやから。新聞やらテレビ局、ラジオ局のほうにもいろいろお見舞いを頂いたりして、ほんまに恐縮しております。
聞き手  今日は小米朝さんと、千朝さんにも来ていただいてますんで、どんな患者であるとか、家ではどうなのかというお話も含めて...
米朝  「家では」言うて、二人とも知れへんのやからな。
小米朝  我々が来てることを、知りはれへんみたいな。
聞き手  憶えてはれへん...
小米朝  二日来んかったら、「小米朝は全然来いへんな」と。千朝兄さんもよう言われますよね、「お前久しぶりやな」
千朝  私は、そないにね、たびたび行かしてもろうてませんから。
聞き手  でも病院にも詰めはりましたでしょ。
千朝  ええ。みんなで交代でね。
米朝  あの時に、本当に久しぶりに千朝が来てたり、誰それが来てたりすると、ついね、飲みとうなるんですよ。この顔ぶれならね、(元気なときなら)酒がないということは無いというような...
聞き手  今まではね。で、ついつい、「こんだけの人数やったら、四合瓶で足りるか」とか...
米朝  そうそう、「足りんやろ」とか...
小米朝  「買うて来い。わしが飲むんちゃうがな。おまはんらが飲むと思うて、言うてんのや。わしも二合ぐらいやったら付き合うで...」みたいなね。
聞き手  (笑)
千朝  それで結局一滴も飲まなかったですからね。
小米朝  で、9月12日退院しはって、退院した晩に、五合ぐらい飲みはりましたか?
千朝  そない飲んでない...
米朝  (笑)まぁ、まぁ、二合や三合は飲んでたやろ。
小米朝  あの日は千朝さんも行った?
千朝  私も夕方寄してもらいまして、飲んで、寝てはりました。
小米朝  (笑)僕はその日は仕事で寄してもらえへんかったんですけど、二合三合飲んではるということを聞いたんで、また明日救急車呼ばなあかんのんちゃうかなと思って。
聞き手  まだ世間には『療養中』ということになってますんで...
小米朝  まず、体力回復から。それには酒が一番!!
米朝  そりゃね、ちょっと(酒が)入るとね、気分がね、もう病人の気分ではなくなるということは、ありますわ。
聞き手  でもどうですか、久しぶりに飲まはったお酒の味は、違いましたか?
米朝  酒というものはつくづく相手次第やということをまた改めてね(思いましたね)
小米朝  一ヶ月空けはったやないですか。一ヶ月空けたということは(今まで)なかったんじゃないですか?
米朝  いや、そりゃあったと思うで。その間病気もしてるし。
聞き手  8月8日の早朝にね、こけはって、9月12日に退院。一月以上ですものね。
千朝  『男子の一言、金鉄のごとく』
聞き手  (笑)でも千朝さんは「こない言うてはったんやから...」
千朝  ちょっと、退院間際がね、一合ぐらいええんちゃうかというようなね、気になりました。
小米朝  あの病院の冷蔵庫に酒入ってたの、あれ千朝さん?
千朝  いや、私じゃないけどね。
聞き手  (大笑)
小米朝  ちゃあちゃん?
千朝  どないしていれるん?
小米朝  いや、ガ〜ラ、ガ〜ラ、歩いていって...(笑)
千朝  小米兄さんあたりがひょっとしたら、買いはったのかもしれませんな。でも冷蔵庫入ったまんまで、封も開けずに...
小米朝  退院までは酒、一滴も飲まずに、タバコも一本も吸わずに。これは見事でした。
千朝  病院やから、あたりまえと言えばあたりまえ
聞き手  (笑)
小米朝  ざこば兄さんが無理矢理吸わせようとして...
聞き手  始末書書かされて。あれは師匠が言ったんですよね。
小米朝  「窓空けて外やったら病院とちがう。空中はええやろ」子供やがな。

聞き手  家での生活は前と同じですか?
米朝  ここんところずぼらになってね、手紙なんかもあんまり書いたりせえへんようになってね、けど、溜まってましたからな。それの返事を書いたりというぐらいなことはしてます。
聞き手  今リハビリはどうなんですか?
米朝  歩きなさいと言われてるんで、この家の回りを回ったり。
聞き手  歩くのは痛くないんですか?
米朝  たいしたことはないです。足はどうっちゅうことないからね。
小米朝  正座はどうなんですか?
米朝  やってみたけどな、長時間喋るほどの正座はやってないけど、別に正座してもどうっちゅうことはない。
千朝  立ち上がるときがね、ちょっと...
米朝  誰かにつかまったりね、立ってしもうたら、もうどうもないし。
小米朝  ほな、もうそろそろ落語復帰、いきましょか?
米朝  出来ますよ、ネタによるけどな。大変な、難しい噺はちょっとやる気、せんけどもね。
小米朝  どんなネタやったらやる気に...
米朝  (笑)そんな誘導尋問...
聞き手  (大笑)親子で誘導尋問してる。
小米朝  いや、待ってはる人も多いんで。
聞き手  そうそうそう、『九九の会』をしましょうと話をしてましたから、81歳でね。
米朝  はぁ、はぁ、はぁ。
聞き手  小米朝さんが(この番組のゲストに)いらした時にやりましょうと...
小米朝  9×9、九九の会。
米朝  この11月6日がきたら81になるんか。
聞き手  まぁ、いつね、どういう形で復帰というか、それをまた考えて差し上げるのも、やっぱりお弟子さんなり、長男の責任じゃないですか?
小米朝  そうですね。
聞き手  介護責任者として。
小米朝  介護責任者って、そんな(笑)いつからそんな責任者があるんか分かりませんけど...
聞き手  この間、繁昌亭で言うてはりました。
小米朝  あ、言うてましたね。あの繁昌亭こけら落とし公演、私、米朝の代演させていただきました。
米朝  それで介護責任者になったんか(笑)酒飲んでもどないしても、介護責任者の...
小米朝  責任です(笑)
聞き手  なんで飲ますねんと。いかんよと。
小米朝  恐いな、それは
聞き手  そうですよ。でもリハビリを始められた時はちょっと歩いたら足が痛いなとか、だるいなと言うてはりましたが。
米朝  それは、慣れてないのや、歩くのに。それだけ遠のいてたさかいね。足が悪いんではないと、私は自分で判断してんのやけどね。

聞き手  退院しはる時にお医者さんが、「師匠これだけはしてくださいね」とか、「これだけはあきませんよ」ということはなかったんですか?
米朝  「お酒はまぁ〜それぐらいなら...」って、「それぐらい」がどのくらいやか分からへん(笑)
聞き手  「あきませんよ」とは言われなかったんですね。
米朝  ええ、まだ本格的には飲んでないんで...
小米朝  プー(吹き出す)
聞き手  あ、米朝師匠としては...
小米朝  (笑)
米朝  何がおかしい?
小米朝  これはまだ本格的ではないんですか?つまりね、リハビリという言葉の使い方が間違ってるんですよね。「本格的にまだ歩いてへん」とか言うんやったら分かるけど、「本格的に飲んでへん」と言うのは(笑)
米朝  でも、本当にそうや。本格的に飲んでないんや。やっぱり二〜三合飲んだら本格的や。
小米朝  あ、そういえば昨日も一合ぐらいでヤメはりましたからね。
米朝  あの、ちょっと、お酒持ってきてくれ。
千朝  い、今?
聞き手  (笑)
千朝  ま、家ですから。
米朝  もう、倒れても大丈夫や...
小米朝  いや、いや。また救急車呼んだりしますから。
米朝  救急車にそう迷惑かけたりしたらいかん。
小米朝  あ、そうですね、そういうとこはしっかりしてる。
米朝  救急車というのは、大変なもんで、またありがたいもんでね。
小米朝  3人きてくれましたからね、救急隊員が。
米朝  あ、そうか。
小米朝  あの時のことは憶えて...
米朝  それがね、あんじょう憶えてないんねん。
聞き手  小米朝さんが最初に聞かれた時は、すぐ駆けつけたと思いますけど...
米朝  すぐ駆けつけて来てないのんちゃう?
小米朝  いや、いや(笑)その頃の記憶ないと、言うてはったじゃないですか?
聞き手  (大笑)

小米朝  酒がきましたので、乾杯を...。退院おめでとうございます。
  (チン-グラスの合わせる音)
米朝  あの、グラスを合わすのは、あれはどこの風習や?
聞き手  中国でも『干杯(ガンペイ)』と言いますけど合わせませんよね。
小米朝  西洋ですかね?
聞き手  なんかビールグラスを合わせてるのをみたような気がしますが、どこが起源か分からないです。
小米朝  じゃ、これを今週の問題にしましょう。
聞き手  (笑)そんなコーナーありましたっけ?
小米朝  なかったか...

聞き手  (今回は)千朝さんに来て頂いたんですけど、昭和49年に入門で、31年のお生まれですから18ぐらいですか?
千朝  高校3年の頃から師匠のとこへ通ってたんです。素人参加番組がありましてね、素人名人会。そこで師匠が審査員をやってはって、それに出て、その後すぐ...
米朝  優秀賞かなんか取ったんですよ。それからプライベートでやって来るようになって、「噺家になりたい」というようなことを言い出した。正統派でね、ワーワー言う、朝丸みたいな、ざこばみたいなとこはなかったけどな。
小米朝  僕が中学生でしたね。竹田さんですわ。本名が竹田睦宏さん。
千朝  恥ずかしいですわ。
聞き手  (笑)なんで恥ずかしいんですか。
小米朝  思い出しますわ、茶の間でみんなで見てたんです、あれはもちろん生放送...?
千朝  生ですね。
小米朝  米朝は当然、梅田花月へ行ってますわね。でたまたま、うちの母親と透も渉も見てたんですよ。持ち時間の3分ぐらいで『持参金』をやって場内ワーワー笑わして、僕らもテレビの前でうまいなと釘付けになったんですよ。
千朝  ほんまかいな...(笑)
小米朝  昨日のことのように思い出します(笑)
聞き手  元々千朝さんは噺が好きだったんですか?
千朝  師匠の独演会のね、追っかけと言うか...。サンケイでちょうどし始めた頃ですから
米朝  しかも癖までよう似とったわ。
小米朝  形態模写をようやってましたね。
千朝  吉朝さんとね。あれは元々吉朝さんがテープ持ってたんですよ。光晴夢若師匠のね。内弟子で一緒に住んでますから聞かせてもらいましてね、面白いなと。そんで余興でちょっとやるために稽古しようか言うて。一門の忘年会とか...
米朝  あれは皆、大絶賛や。
聞き手  阪急ファイブなんかで、それが表芸になってましたもんね。
千朝  落語、ちょっとも売れしまへん。
聞き手  (笑)
小米朝  しかし相方がお亡くなりになったから出来ませんな。
千朝  そうでんな。
米朝  「相方」って(笑)

聞き手  師匠、なんで『千朝』なんですか?
米朝  いや、(彼の)その前にね、『扇朝(せんちょう)』がおってね。歌之助、死んだけど...。これ、なんかの時に(名前の)画数見たら悪いねん。それで『千』にした。
聞き手  で、その時は(扇朝さんは)『歌之助』さんに(芸名を)変えてらっしゃったんですね。
千朝  ちょうどね昭和49年1月にあの時ちょっとややこしかったんです。前年の48年10月に枝雀師匠が『小米』から『枝雀』なってます。49年のサンケイの楽屋でね、新しい小米兄さん、『すずめ』から『小米』になってます。歌之助兄さんは『扇朝』から『歌之助』に、で僕が新しい千朝。楽屋で「千朝...いやあの、新・千朝はいるか、新・小米はどこ行った」とかあの時はほんまにややこしかった。
聞き手  (千朝さんは)ええぇ(良い)内弟子さんでしたか?
米朝  ええ...
千朝  悪いとは...、本人の前で(笑)
聞き手  どうですかご本人としては?
千朝  ええことないですよ。僕らん時はね、師匠ももう...。ま、今ほど優しくはないですけど、でもざこば兄さんなんかの頃とは...。師匠はまだ30代ですからもっと恐かったと思うんですけど、僕らの頃はねわりと。3人いてましたし、内弟子も。吉朝さんと米八さんと。
小米朝  回りと比べたらええように見えるんです。朝、内弟子さん3人おられて、僕まだ中学生から高校生になる頃でしたけどもね、一番早く起きるのが千朝兄さん。
千朝  そんなことない。そりゃ嘘や
小米朝  一番早よ起きて、千朝兄さんが庭掃除してて、うちの母親が起きる頃に汗拭きながら出て来るのが米八兄さんで、怒られるのが米八兄さん。全部綺麗に掃き清めてご飯食べる時にいつの間にか座ってるのが吉朝兄さんで...
千朝  これ、ネタですけどね。
聞き手  (笑)
小米朝  千朝兄さんは優しいお兄さんで、僕のおばあちゃん、つまり米朝の母親ですね、亡くなる前まで公園に桜を見につれて行ったり、とにかく甲斐甲斐しく...
聞き手  非常に、高座を見ても真面目な感じしますね。生真面目な。
米朝  そりゃそうや。はっきり言うて、内弟子としてとても良かった。吉朝も要領ようごまかすけど、立派なもんでしたよ。千・吉(吉朝、千朝)の時はな、それから後に入ってきたやつに「おい、見習え」と...
聞き手  はい、はい
米朝  そのうちにな、見習えと言えんやつばっかりになってきてな...
小米朝  誰からぐらいですか?
米朝  (笑)

聞き手  小米朝さんに以前番組出ていただいた時に、吉朝さん、千朝さんの取り(ネタ覚え)の早さと言うんですか、そのへんはほんまにビックリしたというぐらいね。
米朝  そりゃ確かに取りは早かった。
千朝  我らの頃はね、師匠もレコード出したりされてましたでしょ。それに落語の本なんかもある程度ありますよね。だから師匠がこのネタ稽古する言うたら、それまでに読んだり、聞いたり出来るわけですよ。ところがざこば兄さんとか、枝雀師匠の頃はそんなのはね、レコードも出してはりませんから、本当に口移しで覚えていかないかんから大変やったと思いますよね。
聞き手  小米朝さんなんかはもっとそれが出来た年代ですね。
小米朝  そうね〜、資料が増えすぎたら増えすぎたでまた安心してしまうんですね。いつでも憶えられると...
聞き手  横においといたら読んだ気になるんですね。
小米朝  そうですね。
千朝  そんな、大学受験やない(笑)

聞き手  千朝さんは一時休憩されたときがありましたね。あれは何年ぐらいですか?
千朝  6年間ヤメてました。
米朝  ほんま、6年もヤメてるとは思わなんだ。ちょいちょい顔見せてたせいもあったけどね。けど、あの間でも聞いてたんやろな。
千朝  聞いてないですけどね。
米朝  大概のネタ、頭に入ってたからな。
聞き手  何か考えることがあって?
千朝  皆あるんちゃいますか。そりゃそういう時期はあると思うんですけどね。
米朝  みんな、俺はむいてないんやないかとか...。そんな芸人なんてね、スーッといけへんわね。スーッときたやつ言うたら枝雀ぐらいかな。あれはすぐ銭になったさかいな(笑)
千朝  あの方もずいぶん悩まれましたもんね。いっぺん落ち込みはってね...
聞き手  で、6年間。でもやっぱり初志貫徹...
千朝  そうですね。やっぱりやりたいと思うんですよね。
米朝  堅気になったこともある。
聞き手  さっき聞きましたら、総務とか経理とかしてはったんですね。
千朝  (笑)おおよそ、出来んような。ようやってたなと思いますけど。

米朝  来週は、米蔵と言う人が珍しく出てきた...
千朝  あっちゃ〜
小米朝  ラジオでも噂の、米やん
千朝  とうとうほんまもんが...
小米朝  何番弟子になるんですか?
千朝  入門されたときは6番目。
小米朝  朝太郎兄さんの次。山梨に住んではる。
聞き手  非常に伝説だけで僕はもう耳がダンボになるくらい聞かせていただきました。
千朝  『エメラルドの伝説』と言われています。
米朝  来週はその『エメラルドの伝説』を...

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扇子

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